2015年6月27日公開シンポジウム報告
講演を受けての感想
立教大学法学部法学科 一年生
私は国際関係学に興味があり、本シンポジウムのサブタイトルである「大国の関わり」という重要なテーマに惹かれて参加しました。本シンポジウムでは衝撃的なことが多々ありましたが、その中でも3点取り上げたいと思います。
1点目は、ルワンダのジェノサイドに関して、ペアン氏が「ツチが被害者で、フツが悪であるとは一概に言えない」と言及したことです。自分が中学生の頃に、ハリウッド映画「ホテル・ルワンダ」で少数派のツチがジェノサイドで殺害された場面を観て、大変心が傷ついたのですが、そのツチが主導するRPF(ルワンダ愛国戦線)がジェノサイド中に少なくとも2〜4万人の多数派のフツを殺害したという国連の報告があったこと、そしてマスメデイアはツチが被害者であるという情報操作を行なっていたことにショックを受けました。ペアン氏は自著にその情報操作を記したために、ユダヤ人からも批判を受けましたが、そこでなぜイスラエルが関係してくるのかについて理解ができませんでした。このルワンダのジェノサイドは一例ですが、それだけでも大国がかなりアフリカの紛争に関わっており、「本問題は表向きだけではわからず、裏を読んで考えなければならない」というペアン氏の言葉は説得力がありました。
2点目は、アフリカの紛争に、アメリカやフランス、さらにはイスラエルまでもが関係していることに驚きを隠せませんでした。そしてこれらの大国が自国の利益を追求するために干渉し、それが紛争を長期化させていること、また情報操作によって世界の市民に問題の本質を見失わせていることに呆れるほど卑しさを感じました。ペアン氏のその発言を受けて、大国の干渉やそれがもたらす不安定からアフリカはどのように回避できるのかについて考えましたが、紛争に関与しているアクターが多様で、かつ問題が複雑すぎて、正直ほとんど何も浮かびません。
3点目は、ペアン氏や米川先生が指摘された、NGOの役割と独立性の曖昧さに興味を持ちました。本来NGOとは政府から離れ、「新しい市民社会」を構成するアクターですが、政府組織から独立できていないNGOもいます。さらに悪いことに、人道支援が戦争経済を促進させているという事実は、アフリカにおける紛争解決の困難さと紛争自体の闇の深さを証明していると痛感しました。大国の思惑が大変交錯しているアフリカの紛争は国連でさえ解決できないのが現実ですが、NGOは大国から独立して、紛争解決とアフリカの治安維持において重要な役目を果たさなければならないため、今後NGOの働き方について研究しようと思いました。
本シンポジウムのアンケートによると、ある参加者は「(グローバル社会における議論をほとんど知らない)学部生は、本シンポジウムの重要性について理解できたのであろうか」という疑問が抱いたそうです。確かに学部生の私はアフリカ問題について詳しい知識はなく、長年本問題に関わってきた大学院生、研究者や実務家と比べると、ペアン氏の発言の革新性については明確にわかりません。しかし、ペアン氏が行った調査の結果や長期化するアフリカの紛争への彼の取り組みは、アフリカ大湖地域の紛争問題に対する新しい見方を提供してくれただけでなく、告訴され続けながら真相を探るジャーナリズムの姿勢、フランスなどでは妨害されてしまう微妙なテーマの本質に真剣に向かいながら、発信する行動力と勇敢さは大変大きな学びとなり、私に権力に立ち向かう勇気を与えてくれました。
最後に、アフリカの政府関係者、資本家や大国の思惑や操作などによって紛争が長期化している下で、一般市民は多大な被害を被っています。ペアン氏やコメンテーターのお言葉を心に留めながら、そのような人々を救えるような人になるために努力しようと自分に言い聞かせました。そして、そのような考えをもたらしてくれたスピーカーと本シンポジウムの開催に感謝しています。次回は、本シンポジウムの続きとして、アフリカの紛争問題をどのように解決できるかという企画を学生たちで立案したいと考えています。