2017年度 陸前高田プロジェクト参加学生レポート

小野志織さん(異文化コミュニケーション学部 異文化コミュニケーション学科1年)

 1. このプロジェクトに参加しようと思ったきっかけ
 
りくカフェスタッフの方にインタビュー
 私は、震災が発生した当時、まだ中学生で、名古屋で生活していたため、東日本大震災をテレビなどの報道を通じてしか知らなかった。そして震災から6年たった今、東日本大震災の記憶が自分の中で徐々に薄れていると感じた。震災で被災し、いまだに心に傷を抱えている地元の人々がいるにも関わらず、自分は何も変わらず日常生活を送っていることに気付いた。同時に、東日本大震災の被害や陸前高田の復興状況について多くを知らないことにも気付いた。そこで日本人として、復興現場での課題や震災現場の現状を詳しく知り、世界に発信していく必要があると考え始めた。被災地の現状を自分の目で見て、肌で感じたいと思い、この陸前高田プロジェクトに参加しようと考えた。

 また、スタンフォード大学の学生と交流できる機会が魅力的だと感じた。違う文化背景をもった学生とグループワークや英語での意見交換を通じて、自分とは違う価値観に出会い、自分の中の視野をこのプロジェクトで広げられるのではと考えた。さらに、私は異文化コミュニケーション学部の学生であるため、2年次に海外留学研修がある。英語圏に留学を考えているため、英語でスタンフォード大学の学生と話すことで自分の英語力向上につながり、留学前にいい経験になると思った。

 大学で過ごす4年間の中で、自ら行動し、アクションを起こしたい、積極的に外での学びを充実させたいと考えていた私にとって、陸前高田プロジェクトはぴったりだった。東日本大震災について英語で考えたいという思いをきっかけに、私はこの プロジェクトに取り組みたいと強く考え、応募しようと思った。

2. プロジェクトを通して経験したことで、他の人と一番共有をしたいこと
 
八木澤商店の河野会長の講話終了後
 陸前高田プロジェクトに参加したことで、東日本大震災について深く考えることはもちろん、陸前高田という街に対する思いも増えていった。今回のプロジェクトの目的が、震災から6年たち、復興に向かう陸前高田の魅力を世界に発信することで、その街ならではの特徴、文化や人柄について考えることが多かった。

 一方で、自然災害の恐怖と復興現場の過酷な現実と向き合ったことが自分の中では印象に残る出来事だった。陸前高田に訪れる前は、6年という歳月がたっているため、街も元の形を取り戻し始めていると思っていた。しかし、海岸に近い地区はいまだに更地で、トラクターであふれていた。再開発として街やコミュニティを高台に移してはいるものの、震災前の地元の人と人とのつながりがあったため、新しいコミュニティ作りの困難もはっきりと見えた。復興というものが必ずしも見た目が以前のように戻ることを指すのではないと陸前高田の復興現場を訪れて感じた。目に見えない人々の心や人付き合いも復興に大きく関わる要素だと感じた。

  陸前高田プロジェクトを通じて多くの経験をし、その中で他の人と一番共有したいのは自然災害の恐ろしさとそれに向き合いながら復興を続けていく難しさである。津波の被害にあった建物に実際に登り、津波の威力を肌で感じ、言葉を失っている自分がいて、現地に足を運ばないと何もわからないと無力さも感じた。復興作業にあたりながら、現実と向き合っている人がたくさんいることを日本国内、海外の人にもっと知ってほしいと思った。

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