2021年度 陸前高田プロジェクト 実施報告

テーマ 「陸前高田市の歩みから持続可能な都市について学び、地方都市が持続可能な都市となるために自分たちにできることを考えよう」
-- SDGs「11 住み続けられるまちづくりを」 の視点から-- 
《Rikuzentakata × SDGs × YOU》
参加者 立教大学、香港大学、シンガポール国立大学、米国よりスタンフォード大学、カリフォルニア大学サンタクルーズ校の計18名

2013年度からパイロットとしてスタートしたこの授業に、2015年度からスタンフォード大学生、2018年度から香港大学生、2019年度からシンガポール国立大学生が協働参加し、国際色豊かな環境です。
​実施日
​2021年7月10日、8月3日、8月26日~9月2日
プロジェクト概要 COVID-19の影響下、昨年同様陸前高田市でのフィールドワークは実施できませんでしたが、オンラインで立教生、海外大生、陸前高田市の方々が繋がりました。ライブ配信形式で陸前高田市からのオンライン復興ツアーや市で事業を営む複数の方々からの講話を受講。これを受けて、SDGs Goal 11の視点から、自分が暮らすコミュニティの持続可能性についてグループディスカッションを重ね、最終プレゼンテーションを行いました。
プロジェクト内容

①事前研修 7/10、8/3

立教生のみで実施。本プロジェクトに取り組むに当たっての各自の目標確認、陸前高田市や東日本大震災について理解を深めるための下調べなど、本研修に向けて準備を進めました。

本研修 8/26~9/2(海外大生と合同実施)

8/26 Day1
1日目は参加者の自己紹介からスタート。アイスブレーカーで打ち解けた後、陸前高田市と立教の関係、SDGs等についての知識を得て、自分たちが暮らす国・地域やコミュニティの相違点についてディスカッションをしました。

8/27 Day2 
2日目は東日本大震災の被災地となった陸前高田市からライブ配信で2組のゲスト講師をお迎えしました。 まず最初は、マルゴト陸前高田 様による市内バーチャルツアー。陸前高田のこれまでの歩みと「今」を知り、課題や今後の計画等をおうかがいしました。
続いて、陸前高田しみんエネルギーの大林様。地域電力会社として、地元の自然エネルギー発電を通して、地域の持続可能性・活性化を推進する先進的な取組みを目指されています。

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8/28 Day3
3日目のライブセッションは震災後の市民コミュニティ構築に貢献してきた「りくカフェ」の運営メンバー、鵜浦様と吉田様をお迎えしました。りくカフェは、震災直後の市民を元気づける拠り所として2011年8月に開設したコミュニティカフェ。地元住民と建築・まちづくりの専門家が集まりNPO法人を設立、新しい地域づくりを実践されてきています。

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8/29 Day4
4日目は陸前高田市広田町の地域交流の拠点「長洞元気村」を運営されている村上様をお迎えしました。当日はまず、2階まで津波が押し寄せたという震災当時の村上さん宅をライブカメラで訪問。続いて、震災時に直面する様々な問題や人々の判断についてバーチャルに学べる「クロスロードゲーム」を行っていただき、参加者は実践的に学びました。

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8/30 Day5
5日目は市内の飲食店「カフェフードバーわいわい」店長の太田様をお迎えしました。千葉県出身の太田様は陸前高田で2009年11月に同店をオープン。その後津波によって店を流失しましたが「市や人々のために何かしたい」という強い思いで店を再開。集いの場を提供しながら復興のために尽力されてきました。現在はお店の位置する仮設商店街全体の払い下げを受けてこれを大改修。地域のハブとなる「たまご村」の運営をスタートさせ、”村長”として奮闘中です。

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8/31 Day6
最後のゲストスピーカーは歴史ある醸造業者「八木澤商店」の河野社長。津波によって醤油蔵など全てを失いましたが、他所に預けていた「もろみ」の発見から醤油醸造を復活させました。震災直後から社員の雇用を守り、新しい雇用機会も作り続けている河野社長は、自社再建だけでなく持続可能な町づくりにも尽力。2020年には「発酵」をテーマにした商業施設「CAMOCY(カモシー)」をオープン。地元企業や飲食店と協力し、震災で失われた「発酵文化」復活を目指しています。

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グループディスカッション・最終プレゼンテーション 9/1,2

研修中は各日、グループディスカッションや振り返り、質疑応答等を行い、講話を通して自分たちの考えを深めていきました。 最終日9/2は最終報告会。4か国の学生混合の4つのグループによる発表が行われました。陸前高田の震災復興やまちづくりに関して学んだ内容をふまえ、SDGs Goal 11「住み続けられるまちづくりを」の観点から、自分たちが暮らすコミュニティが持続可能な都市となるために、自分たちはどうするべきか、何ができるのか、について発表しました。これまでお話を伺った陸前高田市の方々にもオンラインでご参加いただきました。

各グループプレゼンテーション

Group1
「Rikuzentakata & Hong Kong 陸前高田市と香港」


香港大学の学生が住む地域・香港と、陸前高田市の比較に焦点を当てました。研修でうかがったお話をふまえて、「エンパシー(他者の感情や経験を理解する能力)」、「コミュニティをベースとした幸福と健康」をキーワードに、香港と日本(陸前高田市)の相違点や改善策を考えました。

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Group2
「Inclusivity コミュニティの包摂性」


サステナビリティの視点の一つである「Inclusivity(包摂性)」の観点からテーマを検討し、しょうがい者福祉、性別マイノリティ等の人々も平等に参加できるコミュニティ作りとリーダーシップについて考察しました。

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Group3
「How Rikuzentakata Has Inspired Us 陸前高田から学んだこと」


陸前高田市の事例を包摂性、安全性、環境の持続可能性、回復力の観点から、日本・アメリカ・香港の状況整理とその比較を行い、日本の無戸籍問題を例にソリューションを提案しました。

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Group4
「For the better community よりよいコミュニティを目指して


今後ますます多様化するコミュニティの中で、人種、文化、言語、宗教、しょうがい等の問題を越えて持続可能なまちづくりをするには何が必要か、何をすべきかを、陸前高田の例を見ながら考えました。

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アメリカ、香港、シンガポール、陸前高田、立教をオンラインで繋いで行われた2021年度 陸前高田プロジェクト。

陸前高田市のスピーカーの皆様のお話からは、歳月とともに復興の在り方が刻々と変わっている様子が伝わってきました。参加学生たちからは、世界共通のテーマに向かい合い、他の誰かではなく、自分たちが具体的な行動に移す重要性に気付いたという感想も多く挙げられました。

多様性あふれる学生の意見交換から生まれた様々な学びや提案の発表は、陸前高田市のスピーカーの皆様にも温かく受け止めていただきました。

最後に記念写真 0902.JPG

プログラムの様子は公式インスタグラムでも公開していますoriginal.png@rikkyoglobalcenter

参加者体験談

本プログラム参加学生の体験談です。

鮎瀬 玖愛さん(法学部法学科2年)

Ayuse3noname.jpg❒ 今回のプログラム参加の動機を教えてください。
大学2年生の夏に何か大きなものに取り組みたいと思っていた時に、陸前高田プロジェクトというものがあることを知りました。将来、自分の地元に密着した職業に就きたいと考えていて、またSDGsにも興味があったことから、プログラムのテーマに関心を持ち、参加を決めました。また、海外の学生とコミュニケーションをとる機会も貴重だと思い、英語でのプログラムに少し不安はあったものの、挑戦することにしました。

❒ プログラム中に印象に残ったことを教えてください。
海外の学生と何度も意見交換を行ったことです。プログラム中には、全く異なるバックグラウンドを持つメンバーとディスカッションをする機会が多くありました。彼らが持つ価値観や考え方は、今まで自分が抱いていたものと異なる部分も多くあり、そういった新たな発見は、とても刺激的でした。そしてそれらの意見を肯定し、尊重し合う空気が感じられたことが良かったです。私は自分の意見や考えを共有することに躊躇してしまうことがあったのですが、どんな意見も受け入れてもらえる温かい雰囲気の中で、自信を持って発信できるようになりました。プログラム中に何度も聞いた「There is no wrong answer. Everyone has value.」という言葉がとても印象に残っています。

参加体験談全文は立教大学公式HP CLOSE UP GLOBALをご覧ください。


Jonahさん(カリフォルニア大学サンタクルーズ校)

Joining the Rikuzentakata project was the best decision I've made this summer. It's really easy to get caught up in global issues and become cynical because nothing is getting done. The Rikuzentakata project has empowered me to "think global and act local" and, going into the rest of the year, I've already begun pursuing methods that I could help contribute to local housing solutions. I also really appreciated the chance to connect with others who have similar interests to me. Even though class took place completely on Zoom, I feel I got to know my classmates fairly well!

以 上

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