国連ユースボランティ​ア 活動レポート

インドネシア  中井 衿花さん
(経営学部 国際経営学科 4年)

2018年11月の活動レポート

2018年10月からインドネシアの国際移住機関(IOM)で活動中の中井さんのレポートです。

Week 6<< 11月5日~11月9日

GMFF
今週は企業のCSRプロジェクトに取り組む傍ら、Global Migration Film Festival(GMFF)のパンフット作成に取り組みました。GMFFとはグローバルな規模で開催されるIOM(国際移住機関)のイベントで、移民に関する動画を上映することにより視聴者に移民に関しての理解を深めてもらうことを目的としています。作成時には、名前やタイトルなどミスが無いように必ず見直すようにしました。

ミーティング
私が所属しているユニットでは毎月のユニットミーティングで全員にプロジェクトの進捗状況を共有します。今週行われたミーティングでは、私が担当しているプロジェクトについての報告だけでなく議事録も任されました。議事録を取るためには、ミーティングで話し合われている内容をよく理解する必要がありますが、今回の議事録の経験からプロジェクトに対して理解を深められていると実感することができました。その一方で、聞き慣れない組織名や人物名、地名などが多く、ミーティング後に正しく記録できていたかを確認する必要があり、今後も引き続き主体的に学んでいく必要があると実感しました。
IOMに派遣されて気が付いたことは、目的に応じてミーティングの形式を工夫していることです。派遣前は国際機関のミーティングはフォーマルなものを想像していましたが、実際は会議室で行われるフォーマルなものからビーズクッションに座りながらのカジュアルなものまで、状況に応じて様々です。カジュアルなミーティングではフォーマルなミーティングに比べて自分の意見を述べやすい、ユニークな意見が多いように感じます。
(写真:毎日このデスクで仕事をしています)

Week 7<< 11月12日~11月16日

業務内容
今週印象に残っている業務は、プロジェクトに関する企画書の作成に取り組んだことです。企画書の作成は初めてだったので、様々な企画書を読み、企画書とはどのようなものかを学ぶところから始めました。新しいアイデアを考えるときには、ロジックツリーを活用するなど、ユニークで説得力のあるものを考えられるように工夫しました。また、ただの思い付きのアイデアを書くのではなく、そのアイデアはどのように重要なのか、どのような効果があるのかを考えるように取り組みました。

IOMの紹介
IOM(国際移住機関)は世界的な人の移動や移住を扱う唯一の国際機関です。「正規のルートを通して、人としての権利と尊厳を保障する形で行われる人の移動は、移民と社会の双方に利益をもたらす」という理念に基づき、幅広い活動をしています。 IOMインドネシアのメインオフィスはジャカルタで、インドネシアの20の地域にリージョナルオフィスを持っています。 私が派遣されているIOMジャカルタオフィスには約100人のスタッフが働いており、9割がインドネシア人のナショナルスタッフで1割がインターナショナルスタッフです。人事、IT、ファイナンスや複数のプロジェクトユニットなど複数が存在します。

(写真左:初めてヒジャブを着用しました。ヒジャブはムスリムの女性が着用する頭髪を覆い隠すためのスカーフです。ファッションに合わせて柄や色、巻き方を変えるのですが、履いていたズボンの色に合わせて同僚が黒色のヒジャブを用意してくれました)
(写真右:週末にジャカルタ都市部から船で2時間ほどのサウザンドアイランドに滞在し、自然を楽しみました)

Week 8<< 11月19日~11月23日

伝え方の大切さ
私は現在、移住問題、現代奴隷、人身取引といった社会課題に関わるプロジェクトに取り組んでいますが、業務に取り組む中で伝え方を工夫する重要性を学びました。今週私は、外部の方に担当するプロジェクトの説明をする機会がありました。その際に、「プロジェクトを説明する際に聞き手が聞き慣れない現代奴隷という単語を多用してしまうと、聞き手が構えてしまい、自身に関わる身近な問題として捉えてもらうことが難しくなってしまうのではないか」というフィードバックをいただきました。これまでも伝え方を工夫してきたつもりでしたが、それでは不十分だったことに気が付きました。使用言語や聞き手の出身地によってもコンテクストは変わります。これまでよりも聞き手の立場を考慮して説明できるように、伝え方を模索していきたいと思います。

世界エイズデー
12月1日の世界エイズデーに先立ち、週末にジャカルタのカーフリーデーでエイズやHIVに関して周知させるイベントが開催されました。UNAIDS(国際連合エイズ合同計画)で働くUNV(国連ボランティア)の友達から声がかかり、私はHIV検査を促進する「Saya Berani (I am Brave) March」に参加しました。2018年の世界エイズデーのテーマが「Know Your Status」ということで、行進以外にも血液検査や献血活動が実施されました。
UNVとして働く1つの魅力は、今回のイベントのように、自分が所属していない国際機関で働くUNVや職員と交流し知見を広げられる機会が多くあることだと考えています。カーフリーデーとは、毎週日曜日の朝6時から11時までジャカルタ中心部の道路約6kmを歩行者天国にする取り組みです。その道路の両端には、食べ物、雑貨、衣類などあらゆる露店が並び、音楽やダンス、着ぐるみを着たパフォーマーなど、多くの人で賑わいます。
(写真:「Saya Berani March」の様子です。参加者はSaya Beraniと書かれた赤いTシャツを着て行進しました)

Week 9<< 11月26日~12月2日

クパン出張
ジャカルタから飛行機で3時間、西ティモールのクパンという地域で開催されたGlobal Migration Film Festival (グローバル移住映画祭・GMFF)にIOM(国際移住機関)スタッフとして参加しました。イベントでは、映画上映、パネルディスカッション、様々なパフォーマンスが実施され、私はそこでアフガニスタン人の19歳と20歳の青年に会いました。彼らは4年前に紛争から逃れるために、母国であるアフガニスタンと親元を離れ、1人で他の難民とともにインド、マレーシアを通り、インドネシアに来たそうです。彼らは既に4年間クパンにおり、今現在第三国定住(すでに母国を逃れて難民となっているが、1次避難国では保護を受けられない人を他国が受け入れる制度)を待っています。第三国定住がいつになるのかはまだわからないそうです。青年の1人はマレーシアからインドネシアに船で渡ってきた際に嵐に直面し、皮膚に強く当たる雨がとてつもなく痛くて、寒くて、死を覚悟したと話していました。

私は16歳の時に10カ月間アメリカへ交換留学に行きました。その際は親元を離れての初めての海外長期滞在で不安で押しつぶされそうだったことを今でも強く覚えています。その当時の私の気持ちを思い出すと、彼らが4年前、この先何が起こるか全く見当もつかない中での移動はどんなに不安だったのだろうかと、胸が痛くなります。彼らは現在学校に通うことや働くことができないので、普段はボランティアとして難民の子供たちに英語を教えたり、スポーツをして過ごしているそうです。彼らがとても友好的な性格だったことと年齢が近かったこともあり直ぐに打ち解けて親しく話すことができました。彼らの言動から、肝が据わっている人だという印象を強く受けました。
(写真:GMFFの様子です。会場は満席でした!)

 

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