国連ユースボランティ​ア 活動レポート

東ティモール  久保満衣子さん
(経営学部国際経営学科3年)

2016年9・10月の活動レポート

2016年9月から東ティモールの国連開発計画(UNDP)で活動中の久保さんのレポートです。

Week1<< 2016年9月26日~10月2日

9月27日午後に空港に到着し、UNのドライバーが迎えに来てくれました。ちょっとした手違いで予約してあるはずのホテルは全室空きがないということで、他を探しました。数名の日本人が住むアパートを見つけ、まずはその場所に住むことにしました。

28日に初出勤。諸手続き、あいさつ回りなどを済ませました。また、東ティモールで安全に過ごすためのレクチャーを受けました。木曜は大使館を訪問し、在留届を提出することができました。金曜は他の人の仕事のサポートとオールスタッフミーティングに参加しました。私を含める新しい職員の自己紹介とUN職員のプレゼンの発表、Resident CoordinatorとCountry Directorのあいさつがありました。2人のあいさつの中で印象的だったのは私たちはサポートする立場の者であって、東ティモールの人々が自分たちで道を切り開いていくことが重要だと話していたことです。改めて国連の立場や仕事に対して考えさせられました。
今週は事務手続きで終わりましたが、忙しそうにしている部署なので私もすぐやることが見つかるような気がします。もちろん不安もありますが、少しずつ学んでいこうと思います。


Week2<< 10月3日~10月9日

Social Good Summitという今週のイベントに向けて、ミーティングや文書の作成やSNSの更新などの作業が多かったです。今週のイベントでは世界的に有名なMuhammad Yunusというノーベル平和賞受賞者でバングラデシュのグラミン銀行の創設者の講演会がありました。タイトルは“The Power of Social Entrepreneurship for Sustainable Development"で東ティモールの若者にソーシャルビジネスの必要性を訴え、かつ背中を押すような力強い言葉を送りました。実はイベント前日にスケジュール変更があったのですべてが急ピッチで進められました。その中で私ができることは少なかったかもしれませんが、頼まれたものや自分から仕事を聞くようにしていました。なかでも、UNDPのWEBに載せる用の文章を一から考えたり、講演者のプロフィール文を執筆するのはやりがいのある仕事でした。

ちょうど忙しい時期に入ったので途中のプロジェクトの把握など、まだ周りの情報についていくだけで精いっぱいな部分は多くあります。それでも、日本人コミュニティだけではなく、現地の人や国連の香港人のインターンとも交流したりと少しずつ輪を広げています。仕事では部署の垣根を越えていろんな人が行き交うので、仕事場でも人見知りをせず積極的にコミュニケーションを取る必要性を感じています。広報という人と関わり合って成り立つ仕事で、かつ多くの人が力を合わせるプロジェクトを目の当たりにして、人とのつながりをより意識するようになりました。

Week3<< 10月10日~10月16日

今週はYouth Forumという若者向けのイベントを2日間開催しました。私は国連開発計画(UNDP)のSNSを中心とした広報活動を行っているので、当日はFacebookに載せるLive streaming(生動画)の撮影と配信や、Twitterの更新をしていました。イベントの内容としては 若者の“Wellbeing, Social Entrepreneurship and Sustainable Development Goals”に焦点を当てています。東ティモールの若者たちがいかにこの国を切り開いていくか、また持続可能的な社会をどのように実現するかについてパネルディスカッションやワークショップが行われ、参加者の若者が積極的に発言していたのが印象的でした。

先週のノーベル平和賞受賞者のMuhammad Yunusの講演会も多くの若者を招待し、ティモール人だけでなく私の心にも響くイベントが続きました。これらはすべてSocial Good Summitと呼ばれる世界中で開かれている国連のサミットの一連です。2030年までに自分たちがどんな世界で生きていたいかを問いかけるテーマのサミットで、まずそのイベント自体の認知度を上げるのが広報の仕事となります。正確な情報を把握し伝えると同時に、いかに見やすい文章で読者を惹きつけられるか、どんな写真であったらより多くの人が興味を持ってくれるのかなどを考えています。その前に頼まれた仕事で精一杯な自分もいますが、少しずつ学んでいます。
(写真:Youth Forumにて地元参加者と1枚)

Week4<< 10月17日~10月23日

UN for ALL workshop
金曜日の午前中にUNで働く職員のためのワークショップに参加してきました。人権というテーマでセッションが行われ、そこから様々なことを学びました。国連の中には教育、保健、平和構築などなど多種多様な機関が存在し、それぞれが完全に独立した分野ではなく重なる部分もたくさんあります。その中で、多くの分野に共通するのが人権です。人権について最前線で取り組むべき国連職員が、改めて人権の成り立ち、考慮すべき事柄や選ぶべき言葉の表現を学びました。このワークショップは国連職員の勉強会でもあり、意見交換会でもありました。ここで気づかされたのは、国連という国際的に大きな組織が言葉に対して非常に気を使っているという点です。 そして、広報で働く者としても重点的に考慮しなければならないことだと再度確認しました。一学生としても、一職員としても大切なことを学ばせていただきました。

UNハウスのソーラーパネル完成
東ティモールの国連事務所が集まるUNハウスでは、ソーラーパネルの設置が完成しました。UNハウスで使われる電気の供給をほぼソーラーパワーで賄えるように2年ほど前から、このソーラーパネルに取り組んでいました。初期費用は高くても長い目で見ると費用は安くなると同時に、環境にも優しいエネルギーです。持続可能な社会を目指し、推進する国連にとって、とても価値のある一歩を踏み出した印象を受けました。特に東ティモールは日差しがとても強い国かつ停電の多い国です。SDGs(持続可能な開発目標)を推進するUNDP広報として、強く印象を受けた東ティモールの国連の取り組みです。このような取り組みがもっと広がるといいなと思いました。

Week5<< 10月24日~10月30日

初めての出張と貧困問題
今回初めての出張に行きました。車で片道4.5時間ほどのボボナロ県のMalianaという地域に広報部として、UNDPと現地の政府が共同で支援している水のインフラ設備事業の建設開始セレモニーに参加してきました。今回伺ったMalianaでは水を汲みに長いこと歩いて取ってくるのだそうです。水を汲みに行っているような人たちが私たちにごちそうをふるまい、歓迎の意を示してくれました。人々はたわいのないことで笑い、楽しそうに過ごしていました。道路には何回も牛とヤギの群れが普通にいて、そのたびに車はクラクションを鳴らし動物がどくのを待ちます。いたるところに放牧されている牛やヤギ、豚、鶏などがいて豊かな自然を感じる出張になりました。
そういった中で貧困とは何かを考え、自分では答えは出ませんでしたが、ティモール人の同僚の一人は、東ティモールには貧困はないと言います。ホームレスもいなければ、ティモール人は家族や親せきで助け合いながら生きていると教えてくれました。ホームレスが本当にいないか、貧困率は何%なのかという話も出てくるかとは思いますが、それでも貧困を定義するのは難しく考えれば考えるほど分からなくなるような気がしました。ボランティアで来ている日本人にまた同じ質問をすると、普遍的な機会が平等に与えられていないことが貧困であると言っていました。国単位で、人単位で貧困のとらえ方がもしかしてあるとしても、例えば、子供がきちんとした医療へのアクセスがなく救えるはずの命をも落としているのは貧困に他ならないと。自然が豊かで美しい国で貧困とは何かとまだまだ自分に問いかける日々になりそうです。たくさんの出会う人とたくさんのことをこれからも話し、議論したいと思うようになりました。
(写真:東ティモールの子どもたちと)

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