国連ユースボランティ​ア 活動レポート

 トルコ   野水 綾さん
(法学部 政治学科 3年)

2025年2月の活動レポート(最終回)

2024年9月からトルコのUN Womenで活動中の野水さんのレポートです。

2025年2月 

「水の国際行動の10年」に関するリサーチ
私たちの水管理方法の転換を支援する行動を促すWater Action Decade(水の国際行動の10年, 2018-2028)の一環として開かれた、ドゥシャンベ会議の資料を参考に、ECAROが支援している国の
害管理 
■ 国境を越えた水問題 
■ 気候変動 
に関する政策を調査し、そのリンクとともに整理する作業を行いました。

2024年6月にタジキスタンのドゥシャンベで開催された本会議は、世界のリーダーや専門家が集い、水資源管理や水供給・衛生に関する政策・投資の優先事項を再確認し、具体的な行動を示す場となりました。これらの決意は「ドゥシャンベ・コミットメント」としてまとめられ、各国の取り組みやパートナーシップが共有されています。 

今回の業務では、各国が掲げる水関連の目標やターゲットについて調査し、政府や国際機関が発表している政策文書やプログラムを整理しました。上司のフィードバックを経て、リサーチの焦点を水問題に関連した「人間の安全保障(Human Security)」へと特化することになりました。 

リサーチを進める中で、ヨーロッパ・中央アジア地域における各国の水問題の現状、取り組み、政策枠組みについて深く理解することができました。また、このプロセスを通じて、これまで馴染みのなかった国連機関や国際機関の役割についても学ぶ機会を得ました。具体的には、国連防災事務局(UNDRR)、中央アジア地域予防外交センター(UNRCCA)、国際赤十字委員会(ICRC)などが水に関連する危機の対応において果たす重要な役割を知り、それらの機関がどのように水安全保障問題に取り組んでいるのかを学べたことは、私の理解を深める上で大変貴重な経験となりました。

最後の週末
同僚や、現地の友人と過ごす最後の週末で、多くの方々との別れの時間となりました。オフィスでは、最終日に私の送別会を開いていただきました。上司や同僚のみんなが語ってくださった思い出や励ましの言葉を通じて、この5か月間の経験の重みを実感しました。改めて、多くの方々に支えられていたこと、素晴らしい人々と出会えたこと、そして仕事の関係を超えて深い絆を築けたことに、心から感謝の気持ちが込み上げてきました。

5か月間を振り返って
この5か月間、UN Womenでのボランティアを通じて、国連という組織の仕組みや国際協力・開発の現場について理解を深めることができました。また、コミュニケーション能力の向上や、多様な価値観を尊重する姿勢を培うことができました。しかし、それ以上に貴重だったのは、多様なバックグラウンドを持つ人々とのつながりです。今でも連絡を取り合う仲間や現地の友人との交流は、私にとってかけがえのない財産です。

特に、大学生活では得られないような多様なネットワークを築くことができました。経験豊富な国連職員、国際協力に携わる同世代の仲間、さらには現地のNGOスタッフなど、さまざまな立場の方々と直接触れ合い、その考え方や仕事への取り組み方を学ぶことができました。単にキャリアの話を聞くだけでなく、実際の業務を通じて、国際機関で働く現実や課題を肌で感じることができたのは、本当に貴重な経験でした。その結果、漠然としていた将来のキャリアについてのイメージがより明確になり、今後進むべき方向を具体的に考えられるようになりました。 

また、私が派遣されたオフィスは地域オフィスであり、各国のカントリーオフィスに対して政策面でのアドバイスやサポートを行うとともに、地域全体の統括を担っています。担当国・地域は10以上に及び、そのため私の業務においても、オフィスが位置するトルコだけでなく、多くの国について調査を行いました。馴染みのない国も多く、最初は国の位置や首都、民族構成といった基本情報を調べることから始めました。リサーチを進めるにつれ、それぞれの国が地形、歴史、民族、宗教、経済状況において異なる背景を持ち、それに応じた独自の課題を抱えていることを理解しました。そうした違いを知ることは非常に興味深く、調査を通じて関心を深めることができました。 また、前述のとおり地域オフィスの役割上、実際のプロジェクト現場を見る機会はほとんどありませんでした。そのため、今後は現場レベルでの実践的なプログラム活動に関わりたいと強く思うようになりました。現場での経験を積むことで、プログラムの実施における課題や現実的な制約を理解し、戦略や政策が現場でどのように適用されるのかを学ぶことができると考えています。現場での業務に直接携わることで、より包括的な視点を養い、問題解決能力を向上させ、効果的な解決策を提案できるようになりたいです。 

私の業務では主に災害や気候変動に関する分野のリサーチを担当しましたが、ランチや休憩時間には、ヨーロッパ、中東、中央アジアなどさまざまな国から来たインターナショナルスタッフと交流し、それぞれの国の政治状況や歴史について話す機会がありました。さらに、ジェンダー問題、女性性器切除(Female Genital Mutilation)、トルコにおける難民問題、経済(インフレ)、政治体制(ケマル主義、エルドアン政権)など、これまで馴染みのなかった社会課題について、現地の人々から直接話を聞くことができました。こうした経験を通じて、多くの新しい知識を得ると同時に、自分の知識不足を痛感し、より広い視野を持つためにさらに学びを深めたいという強い意欲が生まれました。

国連ユースボランティアでの貴重な経験を活かし、大学卒業後は大学院で専門知識を深め、フィールドでの経験を積みながら国際協力の現場で貢献していきたいと考えています。

2月画像1.jpg
送別会の様子

過去のレポート

■2024年9・10月
■2024年11月
■2024年12月
■2025年1月
■2025年2月(最終回)

国連ユースボランティアHOME>>