国連ユースボランティ​ア 活動レポート

 トルコ   野水 綾さん
(法学部 政治学科 3年)

2024年11月の活動レポート

2024年9月からトルコのUN Womenで活動中の野水さんのレポートです。

2024年11月 

ジェンダーに基づく暴力撤廃の16日間(16 Days of Activism against Gender-Based Violence 11/25-
毎年開催されるこのキャンペーンは、ジェンダーに基づく暴力(GBV)についての意識を高め、女性と女児に対する暴力を終わらせる行動を促す国際的な取り組みです。今年は#NoExcuse(ジェンダーに基づく暴力に、言い訳はできません)というスローガンが掲げられています。

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オフィスがあるビルのラウンジで16 days campaignの告知

ヨーロッパと中央アジア地域では、12カ月間に2400万人の女性がパートナーから何らかの身体的・性的暴力を受けています。特に戦争や暴力的な紛争、あるいはこの地域が直面しているような自然災害などの危機の際に、暴力のリスクが高まります。しばしば性的暴力が戦争の武器として使われ、ウクライナでは今年だけでも、250万人(主に女性と女児)がGBV被害者としてサービスや支援を必要としていると推定されています。

ヨーロッパ・中央アジア地域事務所では、このキャンペーンの一環として、#HearHerStoryキャンペーンを立ち上げ、女性と女児の声に耳を傾けています。インフルエンサー、ブロガー、ジャーナリスト、活動家、ソーシャルメディアユーザーが協力し、#HearHerStory のハッシュタグで彼女たちのストーリーを共有し、暴力や差別、嫌がらせを受けた女性や少女の声を広め、ジェンダーに基づく暴力をなくすことを目的としています。

オフィスでは、このキャンペーンに合わせてランチタイムにカジュアルな話し合いが行われ、ジェンダーに基づく暴力について意見交換や個人的な経験の共有を行いました。その中で、暴力には、身体的なものだけでなく、精神的なものも含まれることや、例えば、両親が子どもを連れて病院を訪れた際に、医師が子どもに関する質問を向けるのはいつも母親の方であるといった、日常生活に潜む見過ごされがちな小さな行動もジェンダー不平等の一部であることに気づかされました。こうした日常的な不平等に気づき、それを是正しようとする意識を持つことが、ジェンダーに基づく暴力の撤廃に向けた重要な第一歩であると強く実感しました。

また、女性が夜間に一人で外出する際に不安や危険を感じるといった経験も共有され、「安全」は男性だけの特権ではなく、すべての人に保障されるべき基本的人権であることを改めて認識しました。この話し合いを通じて、誰もが安心して生活できる社会の実現に向けて自分たちが何をすべきかを考える貴重な機会となりました。

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​ジェンダーに基づく暴力撤廃の16日間キャンペーンのチーム写真。女性と少女に対する暴力のない未来を象徴する色としてオレンジ色を身に着けています

キャリア構築に関する学び
オフィスで上司や同僚と会話する中で、国際機関での働き方やキャリア形成について多くの示唆を得ています。例えば、国連では看護師や弁護士、ビジネスパーソンなど、多岐にわたる専門性を持つ人々に向けたポジションが用意されており、必ずしも政治や国際関係だけの専攻である必要はないということを学び、国連が多様なバックグラウンドを持つ人々を受け入れる機関であることを実感させてくれました。

また、イスタンブールで勤務する日本人国連職員の方々とお話する貴重な機会にも恵まれました。それぞれ、外務省や在外大使館、民間企業での経験を経てJPO制度を活用し、現在のポジションに至るまでの多様なキャリアパスを歩まれており、大学院時代の体験談やキャリア形成における具体的な事例についても詳しく伺うことができました。

さらに、「Career Management Workshop for UN Volunteers (Europe and Central Asia)」というオンラインのキャリアマネジメントワークショップに参加し、キャリア構築に役立つ多くの知識を得ることができました。「好きなこと」「得意なこと」「世界が必要としていること」「収入を得るに値するスキル」の4つが交わる部分である「生きがい」の概念、また、以下の4つの視点からキャリアを考える「4Eフレームワーク」も印象的でした。
• Energy(エネルギーを持って取り組める仕事)
• Ease(努力して高い基準を達成できる仕事)
• Entertainment(仕事そのものが楽しいか)
• Excellence(自身のスキルや専門性と一致する仕事)

さらに、イスタンブールで国連機関に所属する若い職員やインターンが集まる交流イベントにも参加し、さまざまなバックグラウンドを持つ方々と意見交換をする中で、キャリアに対する考え方を深める機会が多くありました。
こうした経験を通じて、実際に国連で働いている方々のお話を聞き、アドバイスを頂けたことは、自分自身のキャリア形成において非常に有意義で、今後のキャリア構築に向けた貴重な一歩となりました。

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共和国記念日のタクシム通りの様子

共和国記念日
10月29日はトルコの共和国記念日で、トルコで最も重要な祝日とされています。1923年10月29日、オスマン帝国の支配が終わり、共和制が採用されることが決定され、トルコ共和国が正式に宣言された日で、今年は共和国宣言から101年を迎えました。

町中にトルコの国旗や、アタテュルクの旗が飾られ、タクシム広場では式典が行われ、子どもたちが楽器を演奏したり、行進が行われました。この日は、トルコの歴史と文化に対するトルコ人の深い誇りを感じる瞬間でした。





過去のレポート

■2024年9・10月
■2024年11月
■2024年12月
■2025年1月
■2025年2月(最終回)

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