国連ユースボランティ​ア 活動レポート

カザフスタン  成田 好さん
(社会学部 現代文化学科 3年)

2019年9、10月の活動レポート

 2019年9月からカザフスタンの国連常駐調整官オフィス(RCO)で活動中の成田さんのレポートです。

Week 0<<はじめに

UN RCO について
UN RCO は日本語で国連常駐調整官オフィスと訳されている通り、国連内の組織間の調整や国連とその他の組織(政府・ビジネス・市民団体)を繋ぐ役割をしています。2019年1月からSDGsのさらなる達成を目指して国連内で改革が行われ、今までUNDP(国連開発計画)の代表とResident Coordinatorは同じ人が務めていましたが、切り離されました。そのため私の上司であるRCOのResident Coordinator(国連常駐調整官)である下村さんはUN Kazakhstanの代表でもあるということです。
RCOの主な仕事内容としてはカザフスタンのカントリーチームUNCTと呼ばれるそれぞれの組織のトップが代表として出席する会議の開催・進行、国連としてのイベントの開催・実行を担っています。
(写真:下村代表がスピーチを行うカンファレンス)

アスタナ(ヌルスルタン)のUN
カザフスタンは20年ほど前にアスタナ(現ヌルスルタン)に遷都したばかりなので、国内にアスタナ、アルマティと二つの国連オフィスがある珍しい国です。アルマティの方がビルは大きく新しいですが、アスタナのオフィスは川沿いの比較的立地の良い場所に建てられていて、周りにはレストランやカフェ、アパートもたくさんあります。
オフィス内では組織ごとにフロアが分けられていて、RCOは最上階の6階です。各フロア20-30人ほどいるので、全体では100人を超えるスタッフが働いています。基本的に部屋は1人〜4人ほどで利用していますが、一人1台必ずデスク、パソコンが配布されるのでオフィス環境はとても整っています。 雰囲気は各組織によって違うと思いますが、RCOは人数が少ないので皆密にコミュニケーションをとり、とても良い雰囲気です。お昼を一緒に食べたり、休日に出かけたりもします。
(写真:ホテルで開かれたイベントの準備)

Week 1<< 9月23日~9月29日

国連ユースボランティア活動開始
9月20日にカザフスタンのヌルスルタン(アスタナ)に到着し、「UNDP(国連開発計画)」という紙を持ったドライバーの方がホテルまで送ってくれました。北京でのトランジットを含めると17時間ほどの長旅でしたが、きれいな街並みとドライバーやホテルの方々の優しさにとても安心しました。金曜に到着し、月曜から仕事だったので週末はホテルの周りを散策したり、香港から来た同じく国連の大学生ボランティアと食事をしたりだんだんと生活に慣れていくことができました。

仕事が始まることにとても緊張していましたが、オフィスでは自己紹介をすると笑顔でとても快く受け入れてくださいました。また初日から国連の日のイベントのプロジェクト案の作成を任され、すでにこのUN RCO(国連常駐調整官オフィス)の一員として働けることにやりがいを感じています。前年のイベントの内容や各国で行われた企画のイベントなどを調べていくうちに自分しか作れないものを実現したいと熱が入りました。そのほかにも大臣の情報をまとめる、カンファレンス・レセプションへの参加など初めての体験で刺激を受けることばかりです。周りの人々や環境に恵まれていることに感謝しつつ、自分なりに充実した日々を送れるように努めていきたいです。

(写真左:カンファレンスで同僚と)
(写真右:中央アジア最大のショッピングモール)

Week 2<< 9月30日~10月6日

自分の成長と力不足を実感した二週目
二週目に入り、周りの人とのコミュニケーションや仕事の業務などだんだんと慣れてきました。ミーティングで自分の意見を伝えることができるようになってきましたが、それと同時に自分の力不足も強く痛感しています。先週に引き続き、カントリーチームのミーティングの参加だけではなく、上司のテレビ撮影やカンファレンスにも同行させていただいています。また今週から国連の日に向けての動きが活発になり、当日の利用するホテルの下見やチーム内で認識を統一させるためのミーティングも開かれています。よりよいイベントになるように自分のアイデアを考え直し、採用されるように最善を尽くしたいです。

私生活ではアパートに住み始められ、ロシア語のレッスンを始めるなど、どんどん充実してきています。色々な人と関わり話すことでコミュニティが広がり、皆が私のことを親身になって助けてくれます。土曜日に同じUNV(国連ボランティア)の皆とスカイプで近況を報告し合いましたが、皆がそれぞれ頑張っていることも共有することができ1人で頑張っているわけではないのだなと感じています。
(写真:国連のイベントに参加経験のある、カザフスタンにあるナザルバエフ大学の学生と友達になりました)

Week 3<< 10月7日~10月13日

慣れてきたことで起こる心境の変化
週の前半は事務作業が多く、木曜、金曜にミーティングやホテルでの下見、ジェンダーフォーラムなどが立てこんでいました。事務作業というのはメールなどの編集できない素材で送られてくる大臣の名前や機関、メールアドレスなどをイベントの招待状を出すためにワードやエクセルを使ってまとめ直したり、RCO(国連常駐調整官オフィス)として活動した内容をUNのウェブサイトに載せる仕事があります。そのほかにも今週は15、16日に控えているSPR (The Strategic Prioritization Retreat) というイベントのホテルへの下見やUNFPA(国連人口基金)が開催しているジェンダーフォーラムに参加しました。一つ一つの仕事に強いやりがいを感じられています。今は与えられた仕事をこなすことで精一杯ですが、自分から提案し仕事を作り出せるようになりたいと考えています。

週末には同じくUNV(国連ボランティア)として働いているカザフスタン人、香港の人と共にご飯を食べに行きました。国は違っても盛り上がる話題は同じで話していてとても楽しかったです。さらに日曜日にはJapanese Charity eventにボランティアとして参加しました。多くのカザフスタンの方が日本の文化に興味を持っていて、たくさんの方と交流することができ、友達になれたので貴重な機会になったと実感しました。
(写真:UNVの方とジェンダーフォーラムに参加しました。UNFPA Kazakhstan

カザフスタンUN RCOサイト:http://kz.one.un.org/content/unct/kazakhstan/en/home/un-resident-coordinator-statements.html

Week 4<< 10月14日~10月20日

アスタナ生活1か月記念となった1週間
Strategic Prioritization Retreat(以下、SPR)というイベントの初日に、イスタンブールの国連スタッフによるスカイププレゼンテーションがあったため、SPRの前日に最終チェックをしました。イスタンブールとは3時間時差があるのでアスタナでは夜9時半から最終チェックが始められました。普段と比べて就業時間が長かったですが、イベントを成功させるため、参加者のために滞りなくイベントを進めるために入念にチェックすることは必要不可欠であると実感しました。10時過ぎまで共に行動した同僚とは絆が深まった気がします。

SPR当日は国連だけではなく、カザフスタン政府、市民団体など様々な場所から200人以上の人々が参加しました。前半はスカイプも含めたプレゼンテーションがあり、その後いくつかのグループに分かれてディスカッションという流れでした。私はもちろん国連ボランティア(UNV)なのでディスカッションには参加しませんが、それぞれのグループで白熱した議論が繰り広げられていて、ロシア語でしたがとても興味深かったです。ディスカッション中は写真を撮ったり、足りないものがないか確認するために動き回っていましたが、UNVのサポートがあり私自身も楽しむことができました。最終日の下村代表のあいさつの中で私たちUNVを紹介して下さり、参加者からねぎらいの拍手をいただけた時はとても光栄で身が引き締まる思いでした。SPRが終わったと同時にUN Dayという国連の日を祝うイベントがあります。RCO(国連常駐調整官オフィス)のメンバーでどのようなタイムスケジュールにするのか、それぞれどのような仕事をするべきか、何を準備しなければならないのかを話し合いました。自分の意見を伝えたり、それが採用された時は特にやりがいを感じ、積極的にイベントに貢献したいと感じています。RCOは機関ではなくカザフスタンの国連全体をまとめる役割にあるので、イベントを開くことや他の機関のイベントに参加することが多く、この組織で働くことで国連全体を見ることができるのではと期待しています。
(写真:UNVの仲間たち)

Week 5<< 10月21日~10月27日

UN Dayの準備に追われた一週間
国連を代表するUN DayなどのイベントはすべてRCO(国連常駐調整官オフィス)主催で行われるため、RCO内でのミーティングはとても頻繁に行われ、振り分けられた仕事の進捗状況や追加で確認するべきことなどを皆で確かめ合います。UN DayはRCOだけではなく国連にとっても、国連と深く関わりのある人々にとっても、大切な行事なので密にコミュニケーションを取っています。以前より自分が考えていることや新しいアイデアも積極的に伝えられるようになったと感じています。さらに今回UN Dayに向けてのビデオ作成の仕事があります。大学のフィールド実習での授業でビデオを作成した経験はありますが、国連では求められているものやレベルも異なるのでRCOのナショナルボランティアと協力して励んでいます。

また、国連内の他の組織によって開かれた人権に関するワークショップに参加しました。すべてロシア語だったため翻訳機を付けて視聴しましたが、自分にとって興味深い分野でありとても勉強になったと感じました。SPR(The Strategic Prioritization Retreat)のイベントを経験してからは、他のイベントやワークショップでどのようなところに配慮が行き届いているのかなどをチェックするようになったので今後の自分の活動に活かしていけたらと感じています。

週末には友達とチャリティーイベントやガレッジセールに行き、買い物を楽しむことができました。日本ではなかなか手に入れることのできない値段でショッピングをすることができるので充実した週末を過ごすことができました。
(写真:人権に関するワークショップに参加しました)

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