国連ユースボランティ​ア 活動レポート

 ガーナ   堤 万里子 さん
(グローバル・リベラルアーツ・プログラム(GLAP) 4年)

2023年10月の活動レポート

2023年10月からガーナのUNHCR(国連難民高等弁務官)で活動中の堤さんのレポートです。

2023年10月

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ガーナのUNHCRで活動中の堤さん

派遣先と活動内容について
私はガーナの首都アクラにある国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のオフィスで、大学生ボランティアとして毎日を過ごしています。ガーナにはスーダン、コートジボワール、中央アフリカ共和国、トーゴなどからの難民が数多く暮らしています。UNHCRは難民を保護し、住む場所を追われるというディスプレイスメントの問題解決を目的とした組織です。保護(Protection)とは、個人の権利がしっかりと尊重されるようにするための活動をすべて指します。そのためUNHCRでは難民や亡命希望者などの当事者たちを“支援の受益者”ではなく“権利の保持者”ととらえ、生きる権利をはじめとした彼らの権利を実現させることをめざして活動しています。また、当事者がどうすべきかをUNHCRが決定するのではなく、UNHCRは当事者の声に耳を傾けることを通して問題にアプローチします。私はUNHCRのProtection部のオフィスで働いていて、そこでの同僚の仕事内容には難民へのカウンセリングサービスの提供、難民の子供の保護、ジェンダーに基づく暴力問題への対応、第三国定住にむけた準備などがあります。私はこの部署で自分にできることを探しつつ、学ぶことを大切にしていきたいです。

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太陽の照り付ける日中、オフィスにて。左手奥に見える緑色の建物がカウンセリングサービスを行うところ

一か月目のボランティア活動
10月にはカウンセリングサービスへの同席、難民コミュニティセンター訪問、難民への電話、データポータルへの記入などを行い、UNHCRがどのような組織なのかに関する理解を深めていきました。オフィスに通い始めて二日目にしてカウンセリングに来た難民と対面することができたのはUNHCR現地オフィスにいるからこその貴重な経験だったと思います。カウンセリングサービスとは、日々の困ったことや別の国での定住に関する相談、健康状態に関する相談などを難民から聞いてアドバイスをする場です。

ちなみにカウンセリングは英語で行われますが、フランス語、アラビア語をはじめ難民それぞれに母国語が異なり、聞き慣れていないアクセントの英語を聞き取るのに私は苦労しました。難民らにとっても英語で正確に表現することが難しいこともあり、言語がバリアになってしまっている状況が時としてあったことが印象深かったです。相談内容は様々で、希望が持てなくて泣いてしまう人、だれも助けてくれないと悲観する人、ガーナから早く出て行ってもっと発展した国に行きたいという人、といったケースもありました。

一方でコミュニティセンターでは、奨学金を得てガーナにある大学を卒業したばかりの同年代の難民たちや難民コミュニティのリーダーたちに会いました。前者は彼らの持つ専門性やスキルを活かしてガーナを出て仕事を見つけようとしている人もおり、後者はリーダーとしての責任感とともに困っている他の難民を助けられるように活動していました。このようにして実際に難民と会うことによって、難民と言っても様々な人がいてひとくくりにできないということを強く感じました。ガーナに来たばかりの難民もいればすでに何年も難民生活を送っている人もいますし、年齢も性別も家族構成も故郷を追われることになった経験もそれぞれの個人によって異なります。また、なによりも難民といえども、自分の国から追われたというバックグラウンドを持つだけで彼らにはしっかりと個人の能力があるという点を忘れてはいけないと思いました。

ガーナでの生活
ガーナに来て4週間目にしてやっとこちらの生活にも慣れてきたかな、と思い始めました。気温は毎日30度以上、日中は日差しが非常に強く外で目を開けるのがなかなか大変です。現在は雨季が終わった頃でこれから乾季に入っていきます。
様々あるガーナのローカルフードは、辛い料理や油をたくさん使った料理が多いですが、美味しいです。基本的な食事の構成は、炭水化物(お米、プランテイン、コーンから作るバンクやフフ)と豆類/肉/揚げ魚といったタンパク質、そこに辛いソースやスパイスが加わり、野菜を食べる機会は少ないようです。スープは食べるときにお皿の底が見えないくらいのヘビーさが特徴的で、水のようにさらさらしたスープはわざわざ“ライト”スープと呼ばれます。オクラスープやピーナッツスープといったものが広く好まれています。私は栄養が偏らないよう気を付けながら、初めてのガーナ料理生活を楽しんでいます。
元の人は英語のほかに現地のトゥウィ語やガ語を日常的に使っています。最初は聞き取るのが難しかったガーナのアクセントの英語にも、少しずつ慣れてきています。

首都アクラでの移動手段はタクシー、Uber、Boltが主流の車社会です。道路には穴や溝も多く雨になるとすぐ渋滞になってしまうなど、日本と異なる道路整備状況に到着当初は驚きました。また、ガーナに来て気づいたことは、自分の肌の色で自分が外国人だという情報を発信しているということです。肌の色が違うだけで私が土地に慣れていないことが公になってしまうので、自分自身そのことを意識して生活する必要があると感じています。毎日が異文化体験の連続で、文字通り知らない世界に飛び込んでいくという貴重な経験をしています。

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​ガーナ料理、レッドレッド(豆とプランテイン)。
初めてバンクを食べたとき。新しい食事に挑戦するときはいつもわくわくする。

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