国連ユースボランティ​ア 活動レポート

 ガーナ   堤 万里子 さん
(グローバル・リベラルアーツ・プログラム(GLAP) 4年)

2024年2月の活動レポート

2023年10月からガーナのUNHCR(国連難民高等弁務官)で活動中の堤さんのレポートです。

2024年2月 その1(最終回)

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難民の方とのカウンセリング

Protection業務の中核に一歩近づく
2月にはProtection業務の中核にさらに一歩近づくことができました。一つには初めてカウンセリング業務での受け答えを一人で行なったということです。それまで同僚の主導で行われるカウンセリングに参加するという形をとっていましたが、今回は同僚が隣にいない状態で一人でカウンセリングに来た難民の対応をする機会を得ました。最初、一人でやってみないかと打診された時は、難民の悩みをしっかりと聞き取って理解できるか、聞くだけでなく難民の質問に対する適切な答えを自分は持っているのか、など自信がなくて不安でした。しかしいつまでも同僚の横で観察だけをしているわけにはいかないと思い、勇気を出して挑戦してみることにしました。

実際にカウンセリングを始めてみると、案外緊張はすぐに消え、必要なことをしっかりこなそうとベストを尽くすことができました。尋ねるべき質問事項を事前にメモをしておくという工夫をしたり、それまで見てきた同僚の様子から学んだことを活用したりしました。同僚よりも一人にかける時間は長くなってしまいましたが、一人ひとりに耳を傾けて真摯に受け答えをすることができたと思います。自国で何があったのか聞くと、話しているうちに涙ぐむ方もいれば、詳細を話さない方もいて難民と一言で言っても、経験も相談内容も様々であることが印象深かったです。支援対応は難民が話すことに基づいて判断をするので、難民の態度から彼らが言いたいだろうことを勝手に私が想像しないように気を付けました。難民が話してもいないのに、勝手に意図をくみ取ろうとしては事実が分からなくなってしまうからです。

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スタッフとプロジェクトミーティング

さらに今月は、ある一人の難民に関して第三国定住に適するか否かの情報と見解を上司に伝える、というタスクを与えられました。その難民のインタビュー報告書を読み、彼が過去に迫害を受けたことがあり第三国定住を必要としているのかを見極めなければいけませんでした。しかし彼のインタビュー報告書を読んだだけでは、彼の過去に迫害となる経験が含まれているのかを判断することはとても難しく、まずは同僚と話し合って意見を聞き、難民の出身国に存在する民族の種類や関係を調べました。さらに上司から難民の所属する民族と政治の関係を調べてほしいと依頼され、インターネットで調べものを進めていきました。もしかしたらUNHCRの難民データベースに情報が載っているかもしれないと思い調べてみると、約10年前にガーナ難民審査会が作成した資料が見つかり、インタビュー報告書に載っていない情報を補ってくれました。持っている情報によって第三国定住に適するか否かの判断が大きく変わってしまう可能性があるので、根気強く情報を追い求めることの大切さや一つの情報源だけを判断材料にするべきでないことを学びました。そして第三国定住に関するProtectionの業務には情報力がとても必要で、通して詳細まで事実を把握するプロフェッショナリズムを垣間見ることができました。今回のタスクを振り返ると、思いがけずガーナ難民審査会による新たな資料を見つけられたことが私にとって大きな喜びでした。

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