国連ユースボランティ​ア 活動レポート

 ガーナ   堤 万里子 さん
(グローバル・リベラルアーツ・プログラム(GLAP) 4年)

2023年12月の活動レポート

2023年10月からガーナのUNHCR(国連難民高等弁務官)で活動中の堤さんのレポートです。

2023年12月

UNHCR研修旅行

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研修旅行先でUNHCRガーナのスタッフと

12月6日から9日までUNHCR研修旅行に参加しました。ガーナにいるUNHCRスタッフは普段からアクラ、タコラディ、ボルガタンガの三か所のオフィスに離れてそれぞれ仕事をしていますが、今回の研修旅行ではほぼ全員がアコソンボにあるホテルに集合し3泊4日を一緒に過ごしました。普段はメールのやり取りなどでしかコミュニケーションをとることのないスタッフ同士が顔を合わせてワークショップなどに参加し、親睦を深める良い機会となりました。私にとっては普段一緒に働くアクラオフィスの同僚に対する親近感や尊敬の念、感謝の気持ちがさらに増すのと同時に、タコラディやボルガタンガの普段会えないUNHCRスタッフとコミュニケーションをとれる貴重な機会となりました。

日中は「職場環境で信頼関係を築くには」「Protection from Sexual Exploitation and Abuse (PSEA)とは」「困難のなかで道や希望を見出すマインドセット」といったテーマでプレゼンテーションやワークショップが行われました。特に、どんな困難も新しい機会に繋がっているというプレゼンターの力強いメッセージが印象に残っています。また、問題が生じたときには”Let’s see what we can do.” と自分に問いかけて対処するという経験談を代表が述べられていて、今自分にできることを冷静に考えて行動する大切さを学びました。 

ワークショップで述べられた内容を学んだことに加えて何よりも、その内容について皆で一緒に考えることができたという点に意味があると思いました。困難な中でポジティブに考えていくスキルや信じる心について一緒に考えることでチームとしての一体感が生まれ、将来に不安を抱いていてもみんなで乗り越えるぞというUNHCRスタッフの団結が強まった研修旅行でした。夜にはディナーやダンス、ゲームやキャンプファイヤーなどを皆で楽しみ、仕事から離れてスタッフ同士が親交を深めました。

国際ボランティアデイ
12月5日に国際ボランティアデイの一環としてAccra Rehabilitation Centerを訪れ、ボランティア活動に参加しました。今回はUNHCRではなくUNV(国連ボランティア計画)の活動で、普段はあまり会うことのない他の国連ボランティアの方々と一緒に活動することができました。Accra Rehabilitation Centerでは、国連ボランティアになりたいと考えている障がい者の方々がUVP(国連ボランティアに応募するための専用サイト)にサインインするためのサポートをしました。最初はWifiもパソコンもない環境下でどのようにサポートを提供できるのか分からず途方にくれてしまいそうでしたが、一人でも多くの人をサポートしたいという他の国連ボランティアの方々にも刺激をもらいながら、自分にできることを模索しました。

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国際ボランティアデイにAccra Rehabilitation Centerを訪れた際の記念写真


また活動を通して課題も発見することができました。今回、イベント参加者である障がい者の方々がサインインするためのお手伝いをさせてもらいましたが、参加者の中にはサインインの際に必要となるメールアドレスを持っていなかったり、キーボードのタイピングスキルを持っていなかったりする方もいました。ICTスキルを持ち合わせていない場合、国連ボランティアに採用されたとしても任される仕事は限られてしまうかもしれません。また、サインイン後の応募プロセスでは、UVP上で募集ポストを探したりCV(履歴書)を提出したりという手順があり、これにはより難しい操作が必要となるはずです。サインイン後のプロセスにおける現在のサポート体制について私は詳しく把握できていないのですが、今回のイベント参加者がサインインしただけで終わってしまわず実際に応募プロセスを経て国連ボランティアになる人が一人でも多くいてほしいと思い、そのためにはさらにサポートが必要だと考えました。
 今後の心配もありつつも、この日は普段と異なる形で充実した一日となりました。

難民スキルトレーニング講習の卒業式
12月21日に難民コミュニティセンター・ブルーオアシスでスキルトレーニング講習を受けた難民の卒業式が行われました。ブルーオアシスの提供するスキルトレーニングには、英語、運転、メイクアップ、ヘアメイク、ドレスメイキングなどの種類があり、今回それらの講習を卒業した難民88人が卒業証書を受け取りました。コミュニティセンターでスキルを習得した難民は、それをもとに仕事を得て経済的自立を果たすことが期待されます。

自国から逃れガーナに来た難民たちの多くはそれまでの暮らし方や生計の立て方を変えることを余儀なくされながら、必死に生きています。自国の外で生きるうえで困難に直面する難民に対して、UNHCRやCCG(Christian Council of Ghana: UNHCRのパートナー)によるサポート体制が用意されていることは素晴らしいことです。一方で、難民たちはいつまでもUNHCRに頼りきりではいられず、ガーナ社会で生きていくことを決断したのなら自立する努力をしなければいけません。今回の卒業式への参加は、そのような難民の自立に向けたプロセスの一部に立ち会えたことを意味したと思います。そして、難民はいつまでも難民でいるわけではなく、安定・自立した生活を目指して自身の能力向上を図る社会の一員であることを改めて理解できました。

加えて今回の卒業式では、現在作成中の企業向けパンフレットに使用できる写真を求めて、写真撮影の役割も担いました。卒業証書を手に嬉しそうに笑う難民や、自らデザインした洋服を紹介する難民などを目の前にして、とても喜ばしい一日となりました。



12月下旬に​​UNHCRタコラディ・フィールドオフィスを訪問した際の様子
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